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支店閉鎖のお知らせ

このたび弊社におきましては、東京支店を平成29年11月20日をもちまして閉鎖することとしました。
これまで同支店をご愛顧くださいました皆様には、心よりの御礼を申し上げます。

福岡の人口がどんどん増え続けている理由

福岡市の人口が増えつづけている。人口増加率では政令都市のなかでダントツで全国1位。海外誌が選ぶ「世界で最も住みやすい都市」でも、常に上位に選ばれている。そうした福岡の魅力のひとつは「コンパクトさ」。特にバス交通の利便性の高さは、ほかにない魅力となっている。鉄道やバスを中心に福岡のまちづくりを担ってきた西鉄グループの倉富純男代表に聞いた――。
■世界で7番目に住みやすい街
英国のグローバル情報誌『モノクル(MONOCLE)』が毎年発表する「世界で最も住みやすい都市ベスト25」で、福岡が第7位に選ばれたのは昨年のこと。この年、日本の都市でトップ10に入ったのは東京(第1位)、京都(第9位)と3都市。福岡が古都・京都よりも上位になったことでも話題となった。

福岡市は人口153万人。政令指定都市の中では第5位だが、人口増加数と人口増加率では断トツのトップ(2015年データ)。「住みやすさ」を語るうえで、これほどわかりやすい数字はないが、福岡の何がそれほどに住みよいのか。その謎を探るべく、夏真っ盛りの福岡の街に赴いた。福岡空港から地下鉄でわずか11分、福岡最大の繁華街、天神に到着した。天神1丁目に本社を構え、戦前からこの街の開発を牽引してきた西鉄グループの代表、倉富純男氏を訪ね、その理由を聞いた。

――『モノクル』の「世界で最も住みやすい都市ベスト25」において、福岡市が上位をキープしている理由をどのように分析しているか。
【倉富】福岡市の1番の特徴は、なんといっても街がコンパクトなところ。地理的に山も海も近いため、狭い平野部にいろんなものが集約されています。空港も港も都心のすぐそばにあり、狭い区画の中に行政施設から商業施設まであらゆるものが密集していて、何をするにも自転車の移動で足りるという利便性がある。住宅地も都心部から近く、「通勤に30分もかかるようなら遠い」と言われるほど職場と家が近い。これが働きやすさにも繋がっています。

加えて最近は、高島宗一郎・福岡市長が、福岡をアジアのリーダー都市にしようということで、創業支援を通じた起業家育成にも力を入れています。そうしたことが相まって、レベルアップしてきたかなと思っています。

――西鉄は、戦前から天神の街づくりを担ってきたが、どのような考え方で天神の街づくりを行ってきたのか。
【倉富】もともと天神が栄えたのは、岩田屋さんがこの地に百貨店を開業されてから。そこに新天町という商店街ができ、さらに私たちの西鉄名店街ができ……というふうに昔からみんなで一緒になってつくってきた街なんです。

みんなで街をつくるという精神はいま「We Love 天神協議会」というエリアマネジメント活動に受け継がれ、各事業者、地域住民、そして行政と連携して、一緒に議論しながらやっています。その中で当社は鉄道、バスという公共交通の分野で街の発展を支えることをミッションとしてやってきたわけです。福岡がコンパクトな街と言われるのも、交通ネットワークの密度、充実度と深く関わっていると思います。特にバスはバリアフリーな交通機関で、乗り方さえわかればこんな便利な乗り物はない。当社がバス路線網を全国1の規模にまで拡充させてきたことが、福岡のコンパクトシティ化に貢献できたのではないでしょうか。

▼西鉄グループは天神の街づくりの中心的役割を担う
(A)2009年、天神明治通りビルを取得。15年、コワーキングスペース「天神COLOR」開設
(B)2010年、オフィスビル、西鉄天神ビルを取得
(C)2012年、商業ビル、ソラリアプラザに「TOHOシネマズ天神・ソラリア館」オープン
(D)2013~15年、商業ビル、ソラリアプラザリニューアル。16年、同ビル7階をリニューアル
(E)2016年、商業ビル、天神コアをリニューアル
(F)2016年、オフィスビル「天神CLASS」オープン
(G)2016年、商業ビル、ソラリアステージ地下2階(飲食店街)をリニューアル
(H)2016年、オフィスビル・ホテルの毎日福岡会館を取得
(I)2016年、水上公園と一体となったレストラン施設「SHIP’S GARDEN」オープン
(J)福岡ビル(西鉄本社)
■道を歩く若い女性がやたら目につく
太陽が照りつける天神を歩いてみたが、たしかに街が小ぶりだ。天神地区は中心部からおよそ半径500メートルの狭い範囲にほぼ収まり、東西南北どちらに向いても、10~15分で端に行き着く。だが密度が恐ろしく高い。西鉄福岡(天神)駅の周囲を地元の老舗百貨店・岩田屋のほか、西鉄が運営する「ソラリアプラザ」や「ソラリアステージ」「天神コア」といった大型の商業施設が固め、さらに三越、パルコ、大丸といった有名百貨店が林立しているかと思えば、脇に入るとアーケードの商店街が活気づいている。また繁華街のど真ん中を通る天神西通りでは、「ZARA」「H&M」など、若者向けファッションブランドが通りを飾り、その間をお洒落な路面店のショーウインドーが埋める。歩く人も若い女性がやたらと目につく。暑さしのぎに地下街に降りてみると、そこにも衣料品店や飲食店がずらりと並んでおり、しかも通りの道幅いっぱいに人が行き交っている。

――天神の街を歩いてみたが、シャッターが閉まっている店が1つもない。なぜ天神は常に若者たちを惹きつけ、活気を増し続けているのか。
【倉富】福岡は大陸から近く、昔から多様な文化を受け入れてきた土地で、人が大らかで開放的。新しいものが入ってきてもノーとは言わず、やってみようじゃないかという雰囲気があります。要は新しもの好きなんですね。そうした風土が街づくりにも生きています。

天神はその狭いエリアの中で、アンテナショップができたり、イベントが開催されたりと、常にどこかで新しいものが生まれている。それが街の鮮度を保っているのだと思います。私たちの「天神コア」ビルなども、テナントの見直しも含めて、一生懸命鮮度を保つ努力をしています。そうやって街全体が躍動しているのです。

それは天神だけでなくお隣の博多も含めてです。天神と博多はよく比較されますが、実際は互いが連携してやっています。全体では手を繋ぎ、街づくりではそれぞれが先頭を競い合う。そうして全体の質を高めているのです。

西鉄では昨年、天神、博多、ウオーターフロントエリアを周遊するBRT(バス高速輸送システム)構築に向けた取り組みの1つとして、連節バスの運行を開始したが、それも福岡全体の回遊性を高める努力の一環だ。それを始めた倉富代表は13年の代表就任の翌年に、「まちに、夢を描こう。」の企業メッセージを発表。16年からの中期経営計画の中では「福岡のまちの発展をけん引するとともに、グローバルビジネスを拡大し成長する」とのビジョンを掲げている。

その計画どおり、西鉄は天神の開発だけでなく、ベトナムのホーチミン市に大規模な分譲マンションと戸建て住宅の複合事業に乗り出し、インドネシアでの大規模な開発にも参画。また韓国のソウルや釜山にホテルを開業し、20年にはバンコクにも開業予定だ。

――福岡の開発と同時に海外展開に挑む狙いは何か。アジアの街づくりと国内事業とのバランスは?
【倉富】福岡が元気といっても、北部九州だけを相手にしていては経営基盤として弱い。会社をより発展させるために域外展開をしっかりやるということです。その場合、当社から見て大陸はとても近い。海外の街づくりでは福岡で培ってきた、運輸事業を主体とした地域密着型の街づくりの経験を生かし、そこでレベルアップしたものを福岡にフィードバックするという相乗効果を狙っています。そうやって段階的に福岡をアジアの先進都市にしていきたい。

また海外の事業を通じてアジアからのインバウンドを増やすのも課題です。最近は家族旅行で福岡に来る外国人観光客も増え、ここから別の場所に移動する流れも出てきた。その移動にバスを利用する人の割合が高くなっています。九州全域で使えるバス乗り放題(高速バス含む)の「SUNQ(サンキュー)パス」は、海外だけで年間16万枚を販売しています。これは1日約450枚の計算。福岡にインバウンドが増えれば、九州全域に経済効果を及ぼすので、海外事業を通じてアジアと福岡をもっと近づけたいという狙いもあります。

天神の街では、いたるところにキャリーバッグを引いて歩く外国人観光客の一団を目にし、彼らがバスを利用する光景も頻繁に見かける。「SUNQパス」は、九州全域のバス会社が協力し合って11年前に発売開始。「九州の各バス会社が協力して実現したもの。他の地域では難しいのでは」(倉富社長)と、九州の結束の強さを強調する。

――昔から福岡市には産業がないと言われる中で、大規模な産業開発に向かわず、21世紀型のコンパクトな都市を目指してきたのはなぜか。
【倉富】コンパクトシティを目指さざるをえなかったというのが実情です。というのも福岡市には決定的な弱点があった。近くに大きな河川がなく、常に水不足に悩まされてきました。水がないから工場が来ない。製造業も来ない。みんなお隣の北九州市に行きました。北九州市の人口が100万人を超える頃、福岡市は40万~50万人。九州で大都市と言えばずっと北九州市でした。

ところが製造業に向いていなかったことがいまに繋がりました。工場がないから公害がなく、その対策にお金を使わなくて済みました。海も山も自然が守られ、世界屈指の節水型の都市が出来上がった。そのうちに時代が製造業中心から環境優先へと変わり、福岡が注目されるようになったわけです。

■面積8600平方メートル、天神の大規模再開発
――今後、福岡市がさらにランキング上位を目指すには、何が必要なのか。
【倉富】第1の課題は、古くなったビルの建て替えです。ここ(6階の応接室)から窓の外を眺めてみてください。老朽化したビルや施設が目立つでしょう。それらを刷新する必要があります。しかし単なる建て替えではなく、これからの福岡市の成長エンジンともなる開発をしていこうというのが、市が主導している「天神ビッグバン」です。これは福岡を「スタートアップシティ」にすることを経済戦略の要とする高島市長が、特に力を入れているプロジェクト。天神一帯に多種多様な人や文化が集まり、出会う場をつくって、新しい事業や文化が次々と生まれる環境を整えていこうとしているんです。当社もその一翼を担おうと、15年に起業家を対象にしたコワーキングスペース「天神COLOR」を開設しました。今後はこの福岡ビルと「天神コア」「天神ビブレ」の建て替えを10年越しで進める方針で、これが実現すれば、敷地面積8600平方メートルという大規模な再開発となります。

その具体的なイメージはいま詰めていますが、低層階には賑やかな店舗施設が入ります。前の歩道も整備して、歩いて楽しい街にしたい。そしてビルの上層階には文化的な施設と最高の設備を整えたオフィススペースをつくります。さらにSクラスのホテルを加えることも検討しているところです。

――アジアの玄関口として重要な機能を担う福岡市が、今後アジアのリーダー都市になるための課題は何か?
【倉富】なんといってもアジアと福岡市、そして国内の主要都市とを結ぶネットワークの強化です。その1つとして期待しているのが、福岡空港の滑走路の増設です。これを機にアジア各国からの発着便が増えることを期待しています。また、それに伴う空港の運営民間委託には、当社も参画したいと、地元事業者で協力体制を敷いて、入札に臨んでいるところです。

もう1つは海の交通ですね。福岡はクルーズ船の寄港回数で国内第1位ですが、さらに福岡からアジアの主要都市を周遊するクルージング船を出すようなことも考えていきたい。

他方で、福岡から九州各地に移動する交通ネットワークの強化が急務です。九州新幹線が開通したことに加え、私たちも再来年から新型観光列車を走らせる計画ですが、鉄道もバスもさらに増強して、福岡からほかの町に行く交通ネットワークと楽しみをつくっていく必要があります。

▼共に歩んできた福岡市と西鉄グループ100年史
(1908)前身の九州電気軌道が設立
(1936)百貨店・岩田屋が開業。天神の街の礎となった
(1942)地元私鉄5社が合併し、西日本鉄道となる
(1951)プロ野球・西鉄ライオンズ球団の運営開始(72年に譲渡)
(1961)西鉄名店街開業
(1968)バス保有台数3,000台突破
(1969)西鉄グランドホテル開業
(1980)福岡市の人口(108万人)が北九州市(106万人)を超える(国勢調査)
(2006)九州のバス乗り放題券「SUNQパス全九州」発売開始
(2014)西鉄グループ新企業メッセージ「まちに、夢を描こう。」制定

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倉富純男(くらとみ・すみお)
西鉄グループ代表。1953年、福岡県うきは市生まれ。78年、青山学院大学法学部卒業後、西日本鉄道入社。都市開発事業畑を歩み、福岡市・天神地区の商業施設の開発、運営に携わる。97年、不動産事業局ビル事業部開発課長。2006年、都市開発事業本部商業レジャー事業部長。11年、取締役常務執行役員経営企画本部長を経て、13年、代表取締役社長就任。

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(西鉄グループ代表 倉富 純男 文=大島七々三(ジャーナリスト) 撮影=榊 智朗)

2017年10月25日 15時15分 プレジデントオンライン より抜粋
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