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家は中古が一番 (週刊エコノミスト2016年11月8日号 より抜粋)

賃貸か購入か。長年の論争は決着した。マイナス金利時代は、中古住宅の購入が正しい。

 

理由は日銀の金融政策だ。日銀は9月、金融政策の枠組みを変更し、「長期金利(10年物国債金利)が0%程度」になるよう国債を買い入れすることを決めた。13年4月から黒田東彦総裁が掲げた量的緩和による物価上昇率2%を達成できず、大量の国債を買い入れる「量」から「金利」へ政策手段を改めた形だ。

 

日銀は、金融機関へのマイナス金利も導入し、足元の長期金利はマイナスとなった。ただ、今回の日銀の方針転換を受け、歴史的な低水準が続いた住宅ローン金利は底打ち感が出てきた。日銀が長期金利0%程度を目指す以上、さらに住宅ローン金利が下がる余地は期待できない。

 

「今すぐ家を買う必要はない」のか。その答えは将来のインフレリスクをどう考えるかにかかる。

 

日銀の異次元緩和で物価は大きく上がらなかった。しかし、将来も上がらないというわけではない。

 

日銀が長期金利を目標としたことに対し、ベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)前議長はブログで評価しつつ、金利変動が急激化するリスクも指摘した。インフレ志向の日銀が対応をひとつ誤れば、金利急騰は起こりうる。

 

つまり、超低金利で住宅ローンを組むことは、将来のインフレリスクへの備えとなる。インフレ時は、ローン返済額は実質目減りするからだ。また、一定の資産形成ができる。

 

しかし、賃貸の場合、更新時に家賃を引き上げられる可能性がある。自らの資産形成にもならない。

 

日本は長らく「新築信仰」が強かった。中古住宅の人気は圧倒的に低く、住宅市場に占める中古住宅の割合は14.7%(2013年)にすぎない。新築は「2割の付加価値」と言われ、購入直後から資産価値が目減りする。それでも、新築信仰は続いたが、日銀の異次元緩和がその光景を変えた。高利回りを求めた富裕層がマンション投資に走り、東京23区の新築マンションは、15年の平均価格で6,732万円になった(不動産経済研究所調べ)。13年から約1,000万円も値上がりし、一般人の手が届かないものになった。

 

賃貸と同額で買う

 

厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」などを基に、各世代の世帯所得の「中央値」を算出。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が住宅ローン可能額を試算した。

 

不動産業界で常識の「年収の4~5倍」は無視し、現在の家賃と同額で無理なく返済ができる金額をはじいた。老後の資金計画まで見据えた堅実な内容だ。現在の生活水準も切り詰めない。

 

ボーナス返済は組み込んでないため、海外旅行や趣味、あるいはローンの繰り上げ返済など、利用者の嗜好に合った選択の余地を残した。

 

このため、高額な物件、都心の人気地区は外れる。

 

ただし、殺人事件や自殺が起きた「事故物件」紹介サイトを運営する大島てる氏によると、高額な物件、都心の人気地区でも事故物件なら2,000万円程度で購入できる物件はあるという。

 

また、貯蓄や両親からの援助など、頭金を用意できれば、物件の選択肢はさらに広がる。3,000万円程度で推移する首都圏の中古戸建て、マンションの購入にも応用が効く。

 

中古住宅購入は、政府も後押ししている。政府は今年3月に閣議決定した「住生活基本計画」で「空き家の有効活用」を打ち出した。リフォームや中古住宅の流通を盛んにし、25年に約500万戸と推計される空き家を400万戸に抑える狙いだ。

 

また、中古住宅購入支援のため、40歳未満に最大65万円を補助する制度を新設し、11月1日から受け付けを開始する。

 

リフォームの一種で、ライフスタイルに合わせ、快適に過ごせるように機能まで作り変える「リノベーション」も広まる。

 

「リノベは生活に家を合わせることができる」。今年8月、築38年の戸建てをリノベした女性会社員(41)は「立地」を重視し、海が見える中古の戸建てにした。リノベで「生活の中のちょっとした時間も充実している」という。「中古でよかった」と実感する毎日は、新築へのこだわりを捨てたことで始まったのだ。

 

 

週刊エコノミスト2016年11月8日号 より抜粋

福岡市の築浅マンションが高騰

福岡県では中古マンションの価格上昇が顕著だ。

 

西日本不動産流通機構によると、平均成約価格は、2016年9月に前年同月比17.6%増の1,652万円となり、15年1月から21ヵ月連続で前年同月を上回った。平方メートル単価は44ヵ月連続で前年同月から上昇が続いている。

 

特に、県庁所在地の福岡市は、大阪や名古屋などに比べマンションの在庫が比較的多い。また、近年、九州地方を中心に他県からの人口流入が加速しており、10年比で約7万人増加した。これが福岡市の中古価格の上昇を支えている。特に、築浅マンションの価格が著しく上昇しており、13年比でみると築5年以内の物件の上昇率は5割近い。その他の築年帯も2~3割上昇している。

 

一方、中古戸建て市場は、同機構によれば、県内の9月成約数が前年同月比4.5%減の141戸にとどまり、3ヵ月連続で前年同月を下回るなど需要に陰りが出てきた。ただし、平均成約価格は前年同月比4%増の1,754万円と、10ヵ月連続で前年同月を上回っており、総じて底堅さが維持されている。

 

新築マンションは、15年に福岡市内で2,818戸が発売された(不動産経済研究所調べ)。平均価格は3,242万円。投資用物件の供給も多く、ファミリーマンションについては1,765戸だった。価格は上昇したものの、多くのエリアで発売が減っており、販売在庫は減少傾向にある。

 

週刊エコノミスト2016年11月8日号 より抜粋